エネルギーの科学史 小山 慶太 著 (東京新聞2012年12月2日 書評)

【書評】
エネルギーの科学史 小山 慶太 著 
東京新聞2012年12月2日



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エネルギーの科学史 (河出ブックス)
河出書房新社
小山 慶太

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エネルギーの科学史 [ 小山慶太 ]
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河出ブックス 小山慶太 河出書房新社発行年月:2012年10月 予約締切日:2012年10月10日


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◆今突き刺さる二つの警告

[評者]金子 務 科学史家。著書『アインシュタイン劇場』『街角の科学誌』など。

 3・11以降、自然と人為の災害エネルギーの巨大さには戸惑うばかりである。だが、現実世界の問題を見据えつつも、その根底を探り歴史的に再検討する試みは歓迎すべきである。小山氏の本書は、物理学史的観点から「エネルギーってなに?」というきわめて基本的な問いに、示唆に富む筆致で答えている。蒸気の時代から電気・核・宇宙の時代に及ぶ全八章である。

 カエルの脚を電気刺激するとビクつく研究からヴォルタ電池と小説『フランケンシュタイン』が生まれたなど、エネルギーをめぐって談義がはずむ。光子のお手玉である電磁エネルギーをへて、「ドラえもんのポケット」と仮想粒子(湯川粒子もそうだ)の変身談となり、黒田和夫の「古代の天然原子炉」の挿話を拾い上げてから、いまはやりの暗黒エネルギーへと駆け抜けていく。エネルギーの通史としてツボをよく押さえていて読みやすい。

 印象的なのは、産業革命進行中の熱機関研究者カルノーによる安全性への警告と、放射能発見から九年後のピエール・キュリーによるラジウム犯罪への警告である。この二つの警告は、一世紀を経て蒸気と核エネルギーの我々の時代に、なお直接突き刺さる。ダイナマイトの爆発は化学エネルギー(電子レベル)によるが、核分裂の連鎖反応で解放されるエネルギー(原子核レベル)は桁違いだ。核爆弾にも動力源にもなるのだから、「鳴らすべき警鐘の音も大きくなる」はずだが、核分裂反応発見の翌一九三九年に第二次大戦が勃発して、不幸にして「警鐘の音はまたたく間にかき消された」と書く。

 本書からも、科学技術は冷徹でなく、人間の過誤や恐れを含みながら形成されてきたことがわかろう。災害への怒りと反省は大事にしなければならないが、一方的な科学技術への不信は不幸だ。エネルギー政策の国民的議論には、単なる「世論」でなく知恵に富む「輿論(よろん)」が望まれるのである。

こやま・けいた 1948年生まれ。科学史家、早稲田大教授。著書に『寺田寅彦』など。

(河出ブックス・1365円) 

<もう1冊>
 
 土居守・松原隆彦著『宇宙のダークエネルギー』(光文社新書)。資源ではなく、時空間を創りだす宇宙のエネルギーの謎を解明。


宇宙のダークエネルギー 「未知なる力」の謎を解く (光文社新書)
光文社
2011-09-16
土居 守

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